なんとなく詩メモ。はてなばーじょん。

なんとなく思いついた歌詞とかを載せていくだけのページです。

ヒロイック

月が半分しかない夜に
はためくマントの赤い色を
僕はずっと覚えている

白い雪が一粒だけ
ちらりと仄かに消えていく
イルミネーションで照らされた街は
浮かれているけど平凡だ
女王を失った兵隊のように
規律を知っているはずなのに
どこか寂しげに笑う
僕たち大人の白い息

あの夜に見たのは
嘘でも本当でもない
夢のようなヒーロー

赤いマントをはためかせて
揺れる幻想のように笑って
僕にくれたのは
記憶にも残らないような玩具
だけどあなたの姿は
今でもこの星の無い夜に
永遠にまばゆく映し出されている

暗い影に音が鳴る
明かりのない道までさしかかった
オーナメントも眠りについた住宅街
浮き落ちる雪が濡れている
王に見放された家臣
自由を貰ったはずなのに
どうして胸が痛いのかを
知った子どもたちの寝息

この空を征くのは
理想でも幻想でもない
夢に見ていたヒーロー

白い手袋を振りかざして
くれる贈り物の価値も知っている
それを知るのは
記録にしか残らないような流行り物
だけどあなたの笑顔は
今でもこの月の見えなくなった空を
歩いていくために脚を進ませている

多分 知っていたのさ
物心ついた頃には
だけど それでよかったのさ
赤いイミテーションのマントで

月が半分見える空へと
消える幻想のようなヒーロー
僕にくれたのは
記憶の奥底に残る勇気だ
進む場所を見失った時
いつでもこの暗い道の先を
歩いて 踏みしめてゆける
力になっている

月が半分だけ覗く空
あげられる玩具を探そう
僕はきっとヒーローになれる